現在の60歳台前半の在職老齢年金では,老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超えると老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になる。
しかし,2022年4月1日から在職老齢年金も改正が行われ,基準額の28万円が47万円に引き上げられるので合計が47万円以下であれば支給停止の対象にはならない。
【ここで一言】〈令和4年2月3日:当職寄稿〉
これを分かりやすくすると,例えば61歳の方が年金月額20万円,月額の賃金20万円だった場合
(年金月額20万円+月額賃金20万円=合計40万円)-28万円÷2=6万円が支給停止となります。
つまりせっかく働いたのに月に6万円もの大金が年金の支給停止という名目で支払われなくなる訳です。以前から高齢者の就労意欲が削がれるとして批判のあった制度が今回,やっと改正されたこととなります。
すると,これまで支給停止されていた方においては年間72万円(6万円×12か月)の大幅な収入増となります。とはいえ,見方を変えるとこれまで,これほどのお金が支給停止されていたと考えれば従前の制度には疑問を拭えません。
他方,本年4月1日,高年齢者雇用安定法にて65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務として施行されることとなります。
つまり少子高齢化により年金原資の確保が今後より難しくなっていくことから,これからは政府としても,国民の皆さまは「70歳になるまでしっかり働いてくださいね」ということでしょう。
なお,その分,高齢者を雇用した場合の厚労省などの助成金は充実していますので,事業主様において60歳以上の高齢者の方を雇用される場合には当事務所までご相談いただければと思います。
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